ダイレクトボンディング12
公開日:2017/02/15 更新日:2020/09/02
こんにちは。今日は歯髄保存とダイレクトボンディングを行なった症例の紹介です。
一見何も無いように見えるのですが、レントゲンをとると歯と歯の間から歯の神経に達する大きな虫歯になっていました。
この虫歯の原因はマイクロクラックという歯に起こる小さなヒビでした。
マイクロクラックとは歯ぎしりや咀嚼で上下の歯がカチカチ当たることで歯と歯の間に小さな(マイクロ)ヒビ割れ(クラック)が起きることです。これは日常、歯を使っている以上避けられないことです。
そして、そのヒビに細菌が入り気づかないうちに虫歯になっています。
歯をきちんと磨いている場合でも虫歯になるケースです。なので歯をしっかり磨いているから大丈夫と思っている方でも歯の定期的健診でのレントゲン撮影は非常に重要です。
実際、マイクロスコープにて丁寧に虫歯をとっていくと歯の神経が見えてきました、赤い点が歯の神経です。
通常ですと歯の神経を取らないといけませんが、歯の神経を取ると歯が割れやすくなり抜歯に至る場合や黒く変色したりと様々な問題が出てきます。
近年、MTAセメント(歯の神経を保護するセメント)が開発され、状況によりますが神経を残す事が可能になりした。
虫歯を全て取り神経の露出した部分にMTAセメントで蓋をします。
数週間ほど経過を見て、セメントの硬化を確認したらダイレクトボンディングを行います。
隣接面(歯と歯の間)はリングと楔、マトリックスを用いてフロスがきちんと通せるように作っていきます。
保険診療のレジン充填の場合ですとコストと治療時間の問題で、きちんと形を付与できず虫歯や歯周病の再発リスクから保険診療の場合は銀歯にさせていただく場合が殆どですが、自由診療のダイレクトボンディングであればこのように然るべき時間と道具を使い隣接面形態を作ることができます。
痛みが出ているケースでは歯の神経の炎症が強く起きているので歯髄保存は難しくなりますが、
今回のように痛みが出る前に処置が出来ると歯髄保存の成功率が非常に上がります。
なので、痛みが出る前の定期健診はとても大切です。